サラリと頬をなでる風が秋の空気を運んできた。

私は、この屋上から見る空の色や、風で季節の変化に気が付く事が出来るけど……
……ねぇ? アナタは季節の変化に気が付けている?

毎日仕事で……アナタは必死になってそれに打ち込んでいるけど

……ねぇ? 毎日の変化に気がつけている?

そりゃ、私は来年にはもう受験生で、

いい加減真面目に勉強に向き合うべき何でしょうけど……

でも、季節の変化にも気がつけないほど、
根をつめて……それで……そこまで……って、正直思うの。

正直、私は別に行きたい学校なんて無い。

だからかも知れないけど、アナタが・・・・・・
其処をどれだけの気持ちで目指しているか何て知らないから。

でも、アナタが雑誌に載る度に思うの。いい笑顔してるなって……

でも、その半面で……もう、私とは違う世界にいるのかな……
私よりいいヒトが、一杯居るんだろうな……

なんて、告白できない自分を棚に上げて、
その上、アナタの夢であるモデルをやる事に反対してる私が居るの……

あんなに、デビューの頃は素直な気持ちで応援できていたのに……
……嫉妬って、こんなにも醜いものだったとはね。

4時間目終了のチャイムが校舎中に鳴り響いて、――昼休みの訪れをつげて、――5分。
そろそろ、夏の太陽の名残を感じに生徒達がこの屋上に来る頃だ。
アナタへ向けていた思考を、一旦学校生活のソレに向けるけど……結局考える内容はさして変わらない。

そんなことを考えていた時だった。屋上の出入り口の上で、給水塔を背もたれにボーっとしていた私に
出入り口から、数歩歩いたところで振り返り、こちらを見上げるようにして、立っているあなたが居た。


「あ、やっぱここに居たし」

「……なんで居るの? ……ねぇ、確かアンタ……昨日、『明日は仕事で休む』って言って無かった?」


そう。彼……敏は昨日の帰り際に私にそう言ったはず。
それで、ガッカリした記憶があるもの。


「え? そんな事言ったっけ? 確かに仕事だとは言ったけど、休むって……俺、言った?」


じゃぁ、なにかしら? 私が『明日仕事だから』までしか聞いてなかったって事? 
でも、それじゃ私がガッカリした意味が解らない。


「そう聴いた記憶があるけど?」

「そ? まぁどっちでもいいよ。それより4時間目から居なかったけど、ずっとここに居たのか〜?」

「…………えぇ、まぁ……ってか、3時間目から居たから…………」


要するに敏は4時間目の途中から授業に参加したって事ね。
仕事にしては早く終わったみたいで、良かったじゃない。
最近休みが少ないって、ぼやいてたし。


「ちょっ、マジ? ってか、んなカッコじゃ風引くぞ?」

「…………一応、ブランケット持って来てるから平気よ」

「……準備の良い事ですね。オネェサン……?」


敏が私をオネェサンと呼ぶときの顔が、私は一番好き。
だから、ちょっと呆れられていようが、何だろうが、私は態とそう言われる様な物言いをする。


「……ねぇ、敏?」

「何?」

「いい加減、首……疲れない? あがってきたらどう?」

「ん。行っていいなら行くけど」

「……普段は断りなく来るくせに、今日に限って確認なんてしないでくれる? 気持ち悪いから」

「うわ、ヒドくね?」

「ぷっ!! っくっ……ははははははははっ!!」


首が疲れるんじゃないか……って思ったのはホントだし。いつもは『よーっす』なんて言って遠慮なく
私のテリトリーであるココに上がってくるのに……
何故か今日に限って、伺いをたてる敏が可笑しくて、思わず噴出すように笑ってしまった。


「え、ちょっ!? 何で笑ってんだよ?!」

「っふふっ……ごめっ……あはははははははははっ!!」

「んだよー。ったく、折角昼飯買ってきたのにやんねーぞ?」

「っくっ……ごめっ……ん。……はぁっ……有難う。ねぇ、敏? ココで食べよ?」


流石に、昼食抜きは厳しい……これ以上は笑っちゃダメ。そう思った私はそう言って
私の隣をトントンと右の人差し指で叩く。
その仕草を見た敏はにやりと笑いながら、近所のコンビニの袋を私に見せる様に掲げた。


「おー。今行くわー。ちょいまっといてー」







アナタの持ってきた袋の中にはアナタが、載ってる雑誌も入っていたのね。

その雑誌では、まだ季節がようやく移り変わったばかりだというのに、
既にもうひとつ先の季節のファッション特集が組まれていて、
アナタはその季節特有の厚手のコートを身に纏いながら華やかに微笑んでいた。


あぁ、モデルの仕事と言うものはココまでに今の季節と関係が無い仕事をしなければいけないの……



そうだ、私はアナタに季節を届けよう。



でも、どうやったら届けられる?



……そうだ、アナタには季節の花と写真を届けよう。

風は感じられないかも知れないけど……せめて愛でる事だけでもしてもらいたいもの……







 

後書き(ならぬ、言い訳タイム)。

総隊長! 祝! サイト開設4年!!(5年目突入!?)
おめでとう御座います小説!(……に、なってるのかは謎で御座いますが。)
即席オリキャラ2人で、短編片思い(少女→少年)書いて見ましたー……

返品可能で御座いますので、何かご要望があれば申してくださいませ〜……
では、これからも色々とよろしくお願いいたします!!
((ちなみに……裏設定としましては、幼馴染と言う……小説には全く関係のない
設定を設けて一人でほくそ笑んでおりました(笑)))

                                         2006/09/14  砦樹 侑枝 拝





すいません、載せるまでの時間長くなりましたー。
4周年記念でいただいたものです。ありがとうございます!!
かわいい恋愛でうれしいですよー!!
裏設定もおいしいですし!!
どうもありがとうございます!!




直線上に配置

そのとき、ふと思い立ったソレが私の進路希望になった。

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