この青い空の下ふふふと不気味な声が響く。 それにびびる耳の長い少年。 無意識に耳がふるふる揺れている。 「ギュラ〜!!」 突然茂みが動き出し、ちゃちいつくりのお面をかぶっているある意味不気味なものが、出て来る。 少年の保護者らしき人は呆れたようにそれを眺めているが、少年はまさに気絶寸前だった。 顔色が雪の様に青白くなり、今にもしにそうである。 それを見て保護者はゴツリと少年の頭を叩く。 「いい加減にこんな子供だましに怖がるのは止めろ」 少年は恨みがましい目でその保護者を睨みながら 「い、痛いな、もう少し丁寧に扱ってよ、ガウス。これでも国宝なんだからさ」 と頭をさすった。 少年の名はレクサットといった。 少年はラブ族と呼ばれる絶滅危機品種だった。 長い耳が高く売れ、狩の格好の的であった。 一応人間に近い形をして、頭も人間程度には発達しているのだが、それを殺す罪悪感より、耳を打って手に入るお金に対する執着心のほうが勝っていた。 しかしいまは国に保護されていて、ラブ族を狩るものは重い罪を科せられている。 それでも狩ろうというやつは後をたたなかった。 あの日もちょうどそんなやつらと追いかけっこしていたとき、助けてくれたのはガウスだった。 別にガウスに助ける意思があったわけではなく、そいつらが密猟の常習犯で懸賞金がついていたからだったが。 それでもレクサットは感動した。 そしてその瞬間ガウスについていくと決めたのだった。 最初のころは兄貴と慕っていた。 しかしその呼び名はガウス本人に却下された。そう呼ばれると鳥肌が立つらしい。 そして二人は一緒に旅をすることになった。 そしてレクサットはある少女に出会った。 いわゆる運命の出会いである。 もっともレクサットにとっては迷惑千万な出会いだったが。 「そなた、何者じゃ?」 ある日、レクサットはガウスの用でお城に来ていた。 とはいっても用があるのはあくまでもガウスでレクサットは暇で暇で仕方がない。 それでも最初は暇ながらもガウスの後をついて回ったのだが、途中でガウスが 「おまえはちょっと」 と部屋を追い出された。 どうやら聞かれたらやばい話らしい。 最初のほうはそういうのは危険だし、何より自分が疎外感を感じるためすごく嫌だったが、今はもう慣れの境地である。 そしてたまたま裏庭に行き着いて(裏庭と言っても家が一件建つような敷地だ)そこで女の子と出会った。 ふわふわの緩やかなウェーブを保つ金髪。 少し気の強そうな青い目に、ピンク色の口元。 誰もが振り向くような容姿。 それらはその少女が高貴な生まれであることを示してた。 レクサットはボーっとその少女に見惚れていた。 (うっわ〜、お人形さんみたいだな〜。こういう人間もいるんだ〜) とひたすら感動していた。 そして不審そうに見ていた少女に気がつき慌てて返事を返す。 「僕はレクサット。連れのようでここにいるんだ。君は?」 「我の名はクライシア。この国の第一皇女だ」 「へえ、そうなんだ・・・へ?」 皇女ってことは・・・お姫様? そういえばこういうところにいるんだからいてもおかしくないな。 レクサットはそう納得した。 クライシアはそんなレクサットを不思議そうにみていた。 「そなたは普通なのだな。私の名を聞いても」 「え?」 レクサットは首をかしげた。 クライシアは自嘲気味に笑い 「私が名を言うと皆どうしてか「申し訳ございません!!皇女様とはしらないとはいえとんだご無礼を!!」と頭を下げる」 そういうほうがもっと無礼だと思うのだがな。と呟いた。 レクサットには身分がどうやらで付き合い方を変えることはなかった。 周りにそんなに大それた身分のものがいなかったのもあるけれど向こうが普通に接してきたのならこっちも普通に接しるのが礼儀だろう。 子供のときは身分と言うのは友達を限定するものでしかない。 そしてクライシアはそのことを身をもって知っていた。 ずっと大人達に囲まれて、自分と同い年ぐらいの子供はじっと自分を見ているだけ。 そんなクライシアにとってレクサットは新鮮だった。 確かにレクサットは驚きはしたけど、その後に自分から一線を引くようなまねはしなかった。 レクサットにしてみれば些細なことだが、クライシアにとっては非常にうれしいことだった。 そしてクライシアは 「そなたは、私と少し話してくれるか?」 と心配そうに聞いた。 レクサットはきょとんとしてたが、暇も手伝ってか快くうなづいた。 ソレを見てクライシアの表情はパアッと明るくなった。 そしてソレを教育係のセバスチャンが見ていた。 (おお、姫が・・・姫が笑っておる!!これは国王に知らせねば!!) セバスチャンは慌てて国王の下へいった。 それほどクライシアが笑うのは珍しいことだった。 そしてその笑わせた少年が世にも珍しいラブ族であったことから人間国宝となったのだ。 それでその保護にはガウスが任命されソレまでと変わらないたびを続けていた。 ただレクサットを見るたびに人が握手を求めることを覗いては。 (いったいなんなんだ!!僕が何をした!) 確かにクライシアとのおしゃべりは楽しかった。 クライシアは賢くて、いろいろな事を知ってた。 そしてレクサットはいままで旅をしてきたときの話をしていた。 そしてクライシアと友達になったことは認めよう。 しかし、これはどうしてなんだ!!! い、いや、彼女は悪くない。 彼女はソレを聞いたとき反対してくれた。 しかしことの重大さが分かっていなかった僕は二つ返事でOKしてしまった。 だから僕の落ち度なんだけど・・・なんか納得いかないよ。 そしてレクサットはいい加減それになれて、今ではそれを逆手にとっていいように利用している。 がウルはソレを見て苦笑した。 (子供って順応性が高いからな) そう思いながらもレクサットを見守っていた。 そしてこの青い空のした、二人の旅は進む。 あとがき 遅くなりました!!風水 空さんに捧げます。ファンタジー風冒険物物語・・・もどきです。実際に冒険部はかけませんでした!!すいません!!こんなのでよければおうけ取りください。 |