ここはある小さな村。
小さいながらも剣士や魔道士を多く出してきた村だ。
ここにもほら、魔道士と剣士がいる。
ただ人と違うのはその二人は双子だった。
それもきわめて特殊な。

two mind



「聖なる火精よ、我、カルス=エルルクが命じる。ここに汝が誇る強さをこのものに与えよ。気高き魂ともに・・・。」
赤ん坊を前にカルスが呪文を唱えると、赤ん坊の体が一瞬ぼおっと光りを発した。
ここでは生まれたばかりの赤ん坊に精霊の守護を与えるのが魔道士の務めだった。
カルスも魔道士の一人で、よく産婆から依頼を受ける。
カルスは若いながらも才能に恵まれているのか優秀ではあった。
ただ・・・
「ありがとうございます。」
「ええ、この子は精神力は強い子です。しかし気が強いために味方も作るでしょうが敵も多いでしょう。お気をつけくださ、い〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
どてん!!
「だ、大丈夫ですか?」
ただ、ものすごくとろいことを覗けば。
『は〜、まったくなんで何もないところで転ぶかね〜。』
いきなりカルスの口からそんな言葉が流れた。
しかし傍にいる人たちは皆驚かず、それどころか、
「おいおい、あんまり相棒をいじめるなよ。カレス。」
という野次まで飛んだ。
村の皆は知っていたからだ。
この男の子の中には二つの心があると。
この二人は双子として生まれるはずだったのだ。

カルスとカレスは魔道士の母と剣士の父から生まれた双子だった。
しかし片方は死産だったため、双子として認識されなかった。
しかし物心ついたある日、両親はあることに気づいた。
普段から独り言の多い子だということは分かっていた。
しかし、はっきりとその独り言を聞くまでは、それが会話になっていることを気づかなかった。
そう、このこの中には二つに人格があった。
最初は二重人格かと思われたが原因不明。
その子の親は一人なくしたせいか、ちょっと過保護気味のところがあったので虐待ということはないだろう。
そして二人が大きくなり、言葉を学んでいくに連れてそ謎は解き明かされた。
もう一人の人格は双子の片割れであることを。
もちろん二人はもともとどちらがこの体の本人格かわからないし、そんなこといった覚えもない。
しかしなぜかこの村の大人達はそれを受け止め、子供たちにいたってはそれは当たり前のこととなった。

『ここのやつらって何事にも動じないって言うか、呑気っていうかそんな感じの奴等ばっかだよな。』
「何さいきなり。」
『だってさ俺たちって結構特殊じゃん、なのになんで皆気味悪がらないんだ?』
「いいじゃないか、別に。きっと皆がいい人だからだよ。」
『おまえにかかったらみんないい人だよ・・・。ア〜なんか納得できね〜な。』
「それはおまえさんが他の両親ががんばったからじゃ。」
突然しわがれた声が聞こえた。
ふと後ろを向くと村で一番年上のおばば様がいた。
「おばば様、それはどういう・・・。」
カルスがそう聞くとおばば様は思い出すように目を閉じて
「おまえさんがたがそう言った時は「悪魔のこだ」とか「祟りが舞い降りた」とかそういわれとった。最終的におまえさんがたを殺すという意見まで飛び出したんじゃ。しかし両親はそれに取り合わず、その上この子は普通の私達の子供だと堂々と言い放ったのだ。おまえさんたちの親はいい親だよ。勇気のある優しい親だ。」
それを聞いてカルスは少なからず感動したようだ。
「いい話だよね。カレス。お母さんとお母さんの子供に生まれてきてよかったよ、僕。」
しかし彼すは呆れた顔をし、(もちろん表情は交互に出ている。)
『で?それはどこら辺から作り話なんだ?』
とおばばさまに聞いた。
それを聞いておばばさまは動じず
「よくわかったの、カレス。おまえさんは父以上に疑い深いの。」
と笑ってみせた。
それ聞いたカルスは呆然とし
「うそだったの?」
と泣きそうな顔でおばばさまを見た。
それを見たおばばさまはにっこり笑い、
「おまえさんは母以上に信じやすいの。二人は本当に両極端じゃ。」
と悪意のない顔で言った。
ちょっとだまされやすいカルスにはカレスは必要不可欠だった。
そう、二人は神様に一緒にいなさいといわれた双子。
それに不満なんて持ったことがなかった。多分・・・。

「こんにちは、カルス、カレス。」
声をかけてきたのは幼馴染のカナル。
カナルは一応女剣士だ。
いつか旅にでることを夢見ている。
いや、この村すべての子供が。
ただ一人を抜かして。
「やあ、カナル。今日も鍛錬?」
「ええ、やっぱり一日でも手を抜くとなまるからね。」
「フフ、きっといい剣士になるよ、カナルは。冒険にでてもさ。」
「そう!?そう思う!?」
カナルはかなり嬉しそうにいった。
するとカルスの表情がらりと変わる。
カレス登場。
『けっ、馬鹿じゃねーの?だいたいおまえなんかが旅立ったってせいぜい1〜2年が限界さ。』
「な、なんですて〜!!」
「カ、カレス・・・。」
カレスがからかい、カナルが怒る。
そしてカルスがフォローする。
それが三人の中で暗黙の了解化していた。
カルスはもちろん旅にでてみたい派だったが、カレスはいがいにも旅否定派だった。
本人の言うところ
『強くなるのならここでもできるし、何せ苦労もしなくてすむもんな。』
ということだった。
(まったく、君はそういうところが可愛くないよね。)
と思ったのだが、精神までは伝わらないらしく、同居人は相棒がそんなこと思っているなんて知りもしない。
「でもさ、よくよく考えてみれば二人って本当に正反対の性格してるよね。同じような性格だったらよかったのにね。」
カナルがそういうとカレスはにやりと笑って、
『そうだよな〜。カルスがどじじゃなければ俺もこんな苦労しなくてすむもんな。』
と言った。
それを聞いたカナルは呆れたような声で、
「あんたの性格もカナルを見習ってもうちょっとましになれば?」
と言った。
それを聞いてたカナルは
(これって俗に言う痴話げんかかな〜。もしかしなくても僕って邪魔者?)
などとのんきな事を考えてたりした。
そして少しは気を利かせなくちゃと、
「カレス、僕、ちょっと眠いから寝てるね。」
と言い残し、体の所有権をカレスにあずけた。
カレスはそれを確認した後
『俺もカルスも冒険に出る気はないからな。』
と言い放った。
それを聞いたカナルはふふんと笑い、
「それはどうかしら?カルスは旅にでたがってたみたいだけど?」
『ああ、そうだな。だがおまえも俺たちがここで認められたって外の世界じゃ認められないって知っているだろ。そんなところにカルスをつれていくなんてごめんだね。』
「あんた、まだそんなこと考えてるの?そんなの行ってみなければ分からないじゃない。」
呆れたようにいうカナルにカレスはため息をついて、
『あいにくおれはそんなに楽天的に出来ていないのでね。俺だけならまだしもあの人のいいカルスにそれが耐えられることだとは思わない。あいつは平気な顔をして笑うかもしれないが傷つくのは必至だろう?』
「たしかにね。だけどそんなときは私達が守ればいいじゃない。私もあのこが傷つくのを黙ってみてられないもの。」
それを聞いたカレスはくすっと笑い、
『おまえって本当に俺と同じなんだな。』
「ええ、そうね。だけど負けないわよ。私はずっとあのこだけを見つめてきたんだから。言い寄る男の子達の誘いをけって。」
『俺はおまえと結婚するのはごめんだね。だいたいおまえにカルスはやらん。』
ばちばちばち
今までの交友はどこに行ったのか、火花が散る。
そう、この二人、ライバル同士なのだ、カルスを挟んで。
カナルは純粋な恋愛感情、カレスはおそらく一生一緒である相棒を守るため。
両者一歩も譲らない想いに気づいていないカルスは
(はあ〜、もしかして僕ってこのままだと一生邪魔者?)
などとまったく見当違いな事を考えていた。
行き過ぎた兄弟愛(いや、自分のためなのかもしれない)となにが悲しくて好きな人の兄のライバルにならなければならない恋心と鈍すぎる誤解をはらんで三人の戦いは続く!!

あとがき
1000&1111HITされました樹月まらさんに捧げます双子の出てくるファンタジーです。すいません、かなりおそいですね!!その上この出来?実はこれを書く前は本当は女の子の双子でした。しかし、そうすると相手役の男の子があねに負けてしまうので途中で変更。そのほか変更続きでその上2回ファイルが消し飛びそして筆はかめよりのろい。謹んでお詫び申し上げます。しかし妹を過保護にするあねはよくいるけど弟を過保護にする兄って赤ちゃ○と僕ぐらいしか知らないです。ではでは(逃走)
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